【マレーシア】持続可能な医療制度を目指して│SDGs視察
持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」に設定されているターゲットのひとつとして、 2030年までに、より安全で、より公平で、より健康的な世界にする為の “ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する” 目標設定がされました。UHCを達成するための目標は、より健康な世界への希望の光です。
UHCとは…… 「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを意味し、すべての人が経済的な困難を伴うことなく保健医療サービスを享受することを目指しています。 Our Mission UHC2020レポートより引用
マレーシア医療体制とUHCへの仕組み
マレーシアには、公立の医療機関と民間が運営する民間医療機関がありますが、日本にあるような公的医療保険や介護保険は存在しません。代わりに、公立医療機関での医療サービスについては、連邦政府予算からの支出があり、患者の自己負担が少なく設定されています。つまり、公的医療機関が医療保険に代わって国民の健康を支える制度として機能してるといえます。
公立医療機関は、医療料金法(Fee Act)にも基づいて診療費を設定しており、例えば、マレーシア国民であれば1リンギットから数リンギット(1リンギット=約25.6円 ※2020年12月時点)で外来の診察を受けることができます。
※公立医療機関で受けれる無料支援
1 歳未満の幼児、公務員は無料で受診
貧困者は病院管理者の権限のもと費用免除(制限あり)
地域格差を改善するための「1マレーシア診療所制度」
マレーシアは病院、クリニック以外に広域の地域住民に対して医療サービスや地域格差を改善するために設置された「1マレーシア診療所制度」があります。
これは医師に代わって、5年以上の経験を積んだ看護師や医療助手が常勤する診療所で2009年に開始され主に医療機関の少ない地域に約188カ所が設置されています。
“1マレーシア診療所”では風邪や傷の手当、生活習慣病へのアドバイスなどを行っています。また都市部から離れた住民向けの移動式「1マレーシア移動診療所」 というものも存在しています。
利用者が増え続けている民間医療保険制度
1997年より生命保険会社による医療保険の販売が開始されました。“待ち時間の短縮”や“より高度な技術・専門的医療サービス”を望む中間・富裕層は民間病院を利用するケースが増加しております。
※2020年時点で生命保険及び医療保険の加入率は75%
安価に設定された「公的医療機関」における診察料金
患者層 | 低所得者、公務員、退職者世代 |
外来診療(一般医)費用 | ・1リンギット ・外国人の場合40リンギット |
外来診療(専門医)費用 | 初診 ・公的医療機関からの紹介 → 無料 ・民間医療機関からの紹介 → 30リンギット 再診 ・5リンギット(検査料などを省く) ・外国人の場合は初診、再診ともに120リンギット |
その他 | 1等病床(1-4人部屋)室料45リンギット~/1日 2等病床(6人部屋) 室料30リンギット~/1日 3等病床(8人部屋)室料3リンギット~/1日 ※公務員及び年金受給者は診察料は無料 |
クアラルンプール・民間病院における診察料金(Hospital Kuala Lumpur)
患者層 | 高所得層、富裕外国人(メディカルツーリズムを含む) |
外来診療(一般医)費用 | 30~125リンギット |
外来診療(専門医)費用 | 80~235リンギット+その他の技術料、検査料など |
その他 | 室料については規定なし。検査料などは別途加算 |
マレーシアメディカルツーリズム(医療ツーリズム)
良質な高度医療技術とリーゾナバルな医療費を求めて国境を超える患者を対象に、医療産業と観光産業の連帯のもと医療ツーリズムと呼ばれる新しい観光形態の産業化が注目を浴びています。
マレーシア政府は2000年より医療ツーリズムを観光促進の基幹として、官民一体となって外国人患者をより多くうけいれるための努力を行っており、海外でもマレーシアメディカルツーリズム振興のセミナーを実施しています。
医療ツーリズムはこれまで、先進国から新興国への安価な治療を求める患者の国際移動と捉えられてきました。しかし、LCC(格安航空会社)の普及により交通手段の利便性の増加により、患者の往来が活発化しています。
日本からの利用ケースは多くありませんが、日本人通訳が常勤している病院もあるため、日本では高額な不妊治療をマレーシアで受けるケースや、近隣諸国に在住する日本人が人間ドック検査に訪れるケースがあります。
サンウェイ医療センター
視察内容
1999年11月に設立されたサンウェイ医療センターは、サンウェイシティと呼ばれるサンウェイグループによる一大複合型リゾートエリアに位置しており、オーストラリアの健康管理基準(Australian Healthcare Standards:ACHS)を満たす認定民間病院です。現在、533ものベッド数、180の相談室、12の手術室、計1,470台の車が駐車可能な2か所の駐車場を有しています。
マレーシア国内の医療市場の拡大に伴い、いち早く国際基準への意識から更なる拡張を目指し、既存の病院ビルに隣接するエリアに新たな施設を建設しました。
また2016年10月にはタワーCと呼ばれる、がん・放射線外科センターと核医学センターを中心とした施設が完成しました。このセンターはスイートルームを含む数多くの病室がある10階建ての建物で、消化器系医療センターや透析センターなど多くの専門センターも含まれています。
名前、または内容 | Sunway Medical Center (サンウェイメディカルセンター) |
中心地からの移動時間 | 30分 |
営業時間 | 24時間 ※訪問可能時間は平日の日中 |
見学時間(目安) | 約4時間 |
催行人数 | 10~50名 |
料金 | 有料(お問い合わせください) |
その他 | サンウェイグループのホテルに宿泊することが条件 |
- サンウェイ医療センターと安全についてのブリーフィング(約30分)
- ホスピタルツアー(約90分)※現地の状況により下記より何カ所かの選択となります。
- 研究室ツアー
- がんセンター見学
- 核医学ツアー
- 病棟見学
- 放射線治療ツアー
- 眼科センター見学
- 言語聴覚療法ツアー
- リハビリセンター見学
- 病院キッチン見学
- ベーシックヘルスチェック体験
- 身体検診
- 眼科検診
- ヘルスケアについての質疑応答(約60分 *ミーティングルームにて)