また日本では、約600種類いると言われる野鳥たちのうち現在絶滅危惧種とされている野鳥と、将来的に絶滅危惧種になりうる、また減少してしまう心配があるといわれている野鳥を合わせると、野鳥全体の4分の1にも上ります。
(例)キジ、アホウドリやヤンバルクイナなど
野鳥たちに迫る絶滅の危機の要因は幾つかあります。まず原野を切り開いて道路や工場、団地を建設し、それにより彼らの住居が消えていったことによる「人間による土地開発」があります。戦後の高度成長期に “役にたたない土地” として次々埋め立てられた場所も彼らの貴重な住居だったのです。
1980年に日本で初めて「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)」に登録され、1987年に国立公園となった釧路湿原には「タンチョウ」をはじめとした約2000種もの動植物が生息しており、保水・浄化機能や洪水調整機能や観光資源(潮干狩りやバードウオッチング)などの役割も担っています。しかし以前は「不毛な土地」として見られることもあったと言われています。
次に「人間によって持ち込まれた外来生物や化学物質」などが、その地域に本来いた生き物や生態系にとって脅威となり、またサイチョウの例にもあるように「人間による密猟」、そして最後に「深刻化する地球環境問題」も長期的には影響を及ぼす可能性が高く、絶滅の危機の要因と言えるでしょう。
これらは人間がもたらした、野鳥そして生物多様性の破壊の要因ですが、それを食い止めるために私たちがするべき最初のことは「生物多様性」という言葉の意味を知ることです。
地球には人間を含む多くの生き物が住んでおり、これらは大気・水・土などで構成される環境の中で相互に関わりあって生きています。こうした生き物たちの豊かな個性と繋がりのことを「生物多様性」言います。この繋がり崩れた時、生き物たちは絶滅の危機に晒されるのです。
今私たちにできる事は、ひとりひとりの自然に対する理解ではないかと考えます。地球から見ると人間も野鳥も地球上に生きる生き物のひとつです。しかし、人間と他の生き物とは違いは「自分たちで自然を破壊する」ことができる点です。これは裏を返せば「人間には自然を守る力がある」ということでもあります。生物多様性という言葉の理解から、自然や他の生き物との命の繋がりをもう一度繫ぎ止めることができるのではないでしょうか。